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物件選定の注意事項(内部環境・電気設備編)

物件選定の注意事項(内部環境・電気設備編)|ドクターの医業と暮らしをサポート|大阪府医師協同組合

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読んでわかる開業ノウハウ詳細

物件選定の注意事項(内部環境・電気設備編)

物件選定

医療機関(クリニック)といえば、いろんな医療機器がたくさんあって、電気容量としては、普通の店舗(物販や飲食)よりはたくさん必要になりそう・・・というのが一般的なイメージだと思います。

 

実際に、「その通り」なのですが、実際のところ、MRI、CTや透析設備などを導入しているクリニックは別として、電気容量として大きな負荷になっているのは、エックス線設備機器(一般撮影・マンモグラフィー・各科用エックス線等)となります。

よって、そのような設備がないクリニックについては、例えば事務所ビルなどのテナント(一般的に引込電力が小さいテナント)でも開業できるのですが、それでも電気容量が足りない・・・というケースはよく見かけます。
 
なぜそんなことが? と思うかもしれませんが、そもそも建物に引き込むことのできる電気容量そのものが原則的に「有限である」という事から理解をすることが必要です。(無限に引くことが可能になると、関西電力さんのような電力会社は大変です。)

多くの地域では、電力供給は「一建物一引込」と決まっており、またその一建物に引き込むことのできる電気種は、低圧電力または、高圧電力と決まっています。
低圧電力・・・有限の限界値が49.9KVAまで

高圧電力・・・有限の電力量を、ある程度希望に応じて大きくできる特権がある(その分コストはかかります)

 

では49.9KVAはどの程度の容量なのか? 一度算定式に充ててみます。
 
 

例)40坪(約130㎡)の一般撮影エックス線機器(10.0KVA)がある内科クリニック
1㎡あたり0.15KVAにて設定
 

電灯電力(単相電力)・・・一般電源(コンセント)と照明用電力
(130㎡ × 0.15KVA) + 10.0KVA = 29.5KVA
 
動力電力(三相電力)・・・空調機器用電力

 130㎡ × 0.15KVA = 19.5KVA

 

電灯電力 + 動力電力 = 29.5KVA + 19.5KVA = 49.0KVA

 
 
下線部が必要電力となり、ギリギリです。

では、50坪(約165㎡)であればどうなるのか?

実際のところ、電気については、いつもすべての場所で使用しているわけではなく、時間帯によって異なり、瞬間的に電力が必要なだけのケースもあります。

広さによって、値がギリギリまたは超越してしまう場合は、内装会社を通じて電力会社との協議が必要です。(利用率の算定協議など)

 

悩ましいのは、「一建物一引込の低圧電力の建物」で、その一引込をいくつもの区画で共有している場合です。

これは電気容量が有限であるという前提下で問題になるケースがあります。

しっかりとした医療をするためには、安定した電力供給が大前提。

このあたりも立地を決定する前には必ず確認しておきたいポイントです。