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物件選定の注意事項(内部環境・面積編)

物件選定の注意事項(内部環境・面積編)|ドクターの医業と暮らしをサポート|大阪府医師協同組合

Know how Reading

読んでわかる開業ノウハウ詳細

物件選定の注意事項(内部環境・面積編)

物件選定

よく『〇〇科を開業したいんだけど、〇〇坪あればできるかな?』という相談を受けることがあります。

結論から申し上げますと・・・実は非常に答えにくいご質問です。

 

というのも仮に40坪だとしたとき、その40坪(約130㎡)は、

①ほぼ正方形(11.0m×12.0m)

②ウナギの寝床のようなカタチ(5.0m×26.0m)

③扇形のようなカタチ

そして入口はそれらの辺のどの位置辺りにあるのか…等々。

 

①ほぼ正方形

イメージ的にキレイなカタチでよっぽどのことがない限り問題ないかと思います。

 

②ウナギの寝床のようなカタチ

工夫ができるのであれば有りですが、工夫しなければ厳しい。

せめて6.0m×21.6m…できれば7.0m×18.5mがあれば…と思います。

その理由ですが、一般的にクリニックの特性として、

Ⓐ患者さんが歩く(オモテ)の動線として待合室から処置室へ行く通路が必要

Ⓑスタッフが動く(ウラ)の動線としてバックヤードスペースが必要

Ⓒそしてそのオモテとウラの間に診察室

といったレイアウトがベースになります。

 

それぞれに最低必要な幅としては、

オモテ動線の通路…最低1,500mm(中待合をつくるのなら最低2,500mm)
ウラ動線のバックヤード…最低1,500mm(流し台、作業スペースを含む)

診察室の奥行…最低3,000mm(ベッドやエコーのスペース)

それぞれの下線部の長さを足すと、6,000mm(6.0m)

よって、②長方形の場合でも、記載の寸法が欲しいという結論になります。

 

③扇形のようなカタチ

一般的に扇形や異形のカタチの場合、坪数は実際面積×80%ぐらいまでの値で非効率になります。

よって、異形の場合は、40坪あっても最悪32坪ぐらいまでの有効面積にしかならないこともあるため、これは専門の設計者が実際に現地に行かないとジャッジが難しい…という判断になりがちです。

 

 

区画に合わせて『なんとか上手く必要な室を網羅して入れよう』としても、人間工学的にそもそも無理があるものが出来上がり、実際の運用が始まると後悔してしまう事も多くなります。

『〇〇科を開業する時に、〇〇坪あればできる』の裏側にある盲点として、立地を今後見る時にお役立てください。