ペインクリニックは近年増えてきていますが、まだまだ患者からの認知が追いついていない診療科です。ホームページをはじめとする広報活動への注力は、ご開業成功への必須条件と言ってよいでしょう。また、他の診療科で所見の異常がなくなったのに、痛みだけが残っているという患者は意外と多く、唯一それに対応できる科目でもあります。近隣病院など各方面とうまく連携して、このような患者に来院いただけるようさまざまな方策を講じていくことが重要です。
ペインクリニック開業
ペインクリニック開業
Key points of practice
ペインクリニックは「痛みの専門外来」という比較的新しい診療科目です。手術などは基本的に行わず、神経ブロック注射や投薬治療がメインとなります(ペインクリニック外科もありますが、こちらは整形外科と同時標榜が多いです)。
しかし患者側からすると、名前を聞いただけではどのような診療内容なのかがピンときにくい科目です。まずはホームページや広告媒体を活用し、診療内容を分かりやすくアナウンスし、そのうえで整形外科など他の診療科との違いや、どのような患者に来てほしいかをアピールすることが肝要です。
また、単科だと採算が取れにくいため、内科を同時標榜される先生も多いのですが、各々をどのような配分で診療するかによって、内装の設計計画は変わってきます。
身体の痛みが主訴になりますので、整形外科と同様、高齢者がメインターゲットになります。また、帯状疱疹や頭痛といった、皮膚科や神経内科に関係する疾患を診察するという側面もあるため、上記のような診療科と連携がとりやすい立地で開業されると、お互い紹介しあえるという相乗効果も見込めます。
ペインクリニックを標榜する競合クリニックはまだ少ないと思われますが、患者層が重なる上記のような科目は、先方から競合と認識される可能性もありますので注意が必要です。開業候補地の近隣にこれらのクリニックがある場合は、協力体制を取るためにも早めにご挨拶に行かれた方がよいかもしれません。
人件費が非常に高くなるのもペインクリニックの特徴です。
メインの治療がブロック注射で、リカバリーも考慮しなくてはならないため、看護師は常時2,3名いる体制が安心です。また、年配の患者、身体が不自由な患者も多く、受付・看護師ともにアテンドの可能性もあることから、それぞれの役割分担だけでなく、お互いに協力していけるスタッフさんを採用・育成していくことが重要です。
ペインクリニックで開業される場合の必要面積の目安は30~40坪です。処置やリカバリーに要するベッドを何台置くか、あるいは電動にするかどうかによって、広さや予算が変わってきます。医療機器はX線装置のほか、エコーや光線治療器を置かれているクリニックが多いです。
特にX線装置はTV付きの透視機能を持つタイプが望ましいので、通常のX線装置より設置スペース・予算共に大きくなります。
以下は、ペインクリニックのテナント開業資金例です。
分類 | 項目 | 数 | 計 |
---|---|---|---|
不動産 |
保証金(賃料の10か月分) |
1 |
4,000,000円 |
内装設計・施工 |
設計・施工費 |
1 |
20,000,000円 |
医療機器 |
機器 |
1 |
22,000,000円 |
開業準備金 |
(医師会入会金・印刷物・HP製作費・医院看板・備品購入・他) |
1 |
14,000,000円 |
運転資金 |
|
1 |
20,000,000円 |
合計 |
80,000,000円 |
※各項目の価格は参考価格です。質量の調整により、変動いたします。
Summary
ペインクリニックは近年増えてきていますが、まだまだ患者からの認知が追いついていない診療科です。ホームページをはじめとする広報活動への注力は、ご開業成功への必須条件と言ってよいでしょう。また、他の診療科で所見の異常がなくなったのに、痛みだけが残っているという患者は意外と多く、唯一それに対応できる科目でもあります。近隣病院など各方面とうまく連携して、このような患者に来院いただけるようさまざまな方策を講じていくことが重要です。