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物件選定の注意事項(内部環境・給排水設備編)

物件選定の注意事項(内部環境・給排水設備編)|ドクターの医業と暮らしをサポート|大阪府医師協同組合

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読んでわかる開業ノウハウ詳細

物件選定の注意事項(内部環境・給排水設備編)

物件選定

一般的な店舗(物販や飲食店)のレイアウトを想像してみてください。
飲食店を例に例えると、30坪以上ある比較的大きな飲食店の多くは、手前に客席があり、奥に厨房があり、その厨房の横辺りにトイレや手洗いがあるというレイアウトが多いと思います。
 
では、クリニックではどうでしょう?
 
飲食店で客席となっている事が多い手前には、患者さん用のトイレがある事が多いですよね。
 
 
多くの事務所ビルや店舗ビルでは、“裏場”となる厨房やトイレなどの水設備がある場所は、やはり“裏場である奥”に計画されるもの…という前提で設計されたものが多く、これが既存の事務所仕様のビル、店舗仕様のビルにクリニックが入居しづらい大きな原因になっています。
 
またクリニックには意外と水を使う場所が多く、トイレ(+手洗い)は患者さん用とスタッフ用の最低2箇所はあることが望ましいとされており、その他にも、診察・処置用の流し台、検尿用の流し台、スタッフルームのミニキッチンや洗濯機など、水場が少ないと思われるクリニックでも、8~10箇所。消化器内科などの場合は、20箇所を超える場合もあります。
飲食店よりも実は水廻りが多い。それがクリニックの意外な特性と言えます。
 
また排水は、自然勾配によって流れる事が一般的(最近は使い勝手の良い排水ポンプも登場しているので、その限りではないですが…)なので、排水管は水上に行けば行くほどその高さは高くなり、区画内のバリアフリー化の邪魔をする要因に変わります。
 
近年、“クリニックビル”となっているビルが、共用部などの“外の床”に対して、区画内の床が下がっているつくりとなっているのは、
・水場が多い
・バリアフリーがいい
という矛盾する2点を解消し、レイアウト上の自由設計を限りなく可能にするというためなのです。
 
 
また給水管にも口径がいくつかあるのですが、これもその口径によって、いくつまで水場を設けてよいかが概ね決まっています。(口径に合わない給水口数を設けると、水圧が減圧する。)
立地検討をするときに、『この物件はNG又は準NG(協議によりCLEARになる可能性あり)』となる多くの原因は、前項の電気設備とこの給排水設備(特に排水設備)にあります。
 
もちろん前述した自由設計とは言えないまでも、レイアウト上の制限を先生ご自身が許容できる範囲の制限であれば問題はないので、
「排水管が奥にしか見当たらない」「床が下がっていない」という物件があれば、一度内装設計会社に可能なプランを描いてもらう事が必要です。